岐阜薬科大学製剤学研究室(旧製剤学教室)では、
患者さんの服用性や利便性に着目したドラッグデリバリーシステム(DDS)と
新しい製剤設計や製造プロセスに関する研究を粒子設計工学の観点から行っています。
異分野融合から生まれる新しい研究を推進し、
産官学連携により研究成果を実用化することを目指しています。
ナノ薬物キャリアを活用する
低侵襲DDS製剤の研究
患者に優しい投与経路をナノテクノロジーDDSで実現することを目指しています。注射で投与される薬物をDDSにより、経口剤や吸入剤として開発することを試みています。また眼内注射を回避するために、点眼で眼の後ろに薬物を送達する技術を開発しています。siRNAなど核酸医薬の細胞内DDSにも取り組んでおり、経口・経肺・点眼など低侵襲投与経路に応用していることが特徴です。ナノ薬物キャリアとして、リポソーム、エマルション、高分子ナノ粒子などの研究開発に注力しています。低分子、核酸医薬、バイオ医薬品など幅広いモダリティに活用できるDDS技術の確立を目指しています。
薬物のバイオアベイラビリティと
服用性改善を目的とする粒子・製剤設計
難水溶性薬物の溶解性を改善する薬物ナノ結晶製剤や固体分散体、次世代型のナノファイバー製剤(下図)の開発に取り組んでいます。医薬品だけでなく、機能性健康食品や化粧品分野にも確立した技術を応用しています。
また口腔内崩壊(OD)錠やODフィルム、粘膜付着性製剤など小児や嚥下困難な患者さんでも服用しやすい剤形開発を行っています。
統合型医薬品連続生産システムを
目指した製造プロセス開発
医薬品の合成から製剤化までをフローで一貫して行うことができる製造プロセス開発を行っています。合成後の晶析精製と造粒工程を融合できる球形晶析法や連続製剤化(粉体)プロセスの基礎研究に加え、新しい医薬品製造装置・分析装置の開発を行っています。多変量解析や機械学習などデータサイエンスにより製造プロセスの解析を試みています。
個別化製剤の実現を目指した研究
将来的に病院や薬局内で薬剤師がエンジニアとなり、患者一人一人に対し最適化されたオーダーメード製剤を供給することを目指しています。院内製剤の品質管理に関する研究や3Dプリンタによる錠剤成型など医薬品製剤のオンデマンド製造技術(ファーマシー・オンデマンド)の可能性について研究をしています。